2021/02

日高研卒業生の孫軍悦さん(立命館大学国際関係学部准教授)が、初めての単著『現代中国と日本文学の翻訳 テクストと社会の相互形成史』を青弓社から刊行しました。
東京大学に提出した博士論文がもとになっていますが、奈良教育大学大学院に在学していたころから取り組んできた翻訳研究を発展させた内容です。
以下、出版社サイトより──。
戦後の日本と中国は、対立と友好の狭間で揺れ動きながら関係を形作ってきた。そのようななか、日本の文学は中国でどう翻訳されて、中国の人々にどう受容され、いかなる影響を与えてきたのだろうか。
1960年代から70年代までの井上靖『天平の甍』の翻訳と舞台化、70年代末から80年代末までの日本推理小説や映画のブーム、80年代末から2000年代にかけての村上春樹『ノルウェイの森』の翻訳と受容という3つのテーマに焦点を当てる。そして、国交正常化、文化大革命、社会主義の諸政策など、各時代の社会的な背景とともに人々の翻訳の受容の実態を浮き彫りにする。
日本文学の翻訳・舞台化・映画化を中国の政治・経済・法律などの諸制度とも絡めて考察して、原作-翻訳-受容のダイナミックな相互作用が中国社会に与えたインパクト、そして文学と社会の共振の諸相を描き出す。
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孫軍悦著、青弓社、372頁、3,600円+税