2020/03

NUE-KOKUBUN43
『奈良教育大学国文─研究と教育』第43号が刊行されました。
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本誌には、日高研所属の院生である吉村惇・草川倫太郎両君の論文、そして、資料紹介として拙稿が掲載されています。
 
【論文】
吉村惇
梶井基次郎『檸檬』のレトリック─大正期「活動写真」の方法─
◇草川倫太
江戸川乱歩「陰獣」におけるフィクションの機能
【資料紹介】
◇日高佳紀
鈴木悦「悪魔と其の弟子」解題と本文
─カナダの日本語新聞『大陸日報』社説欄に載った戯曲─

吉村論は、梶井基次郎『檸檬』について、作品の舞台となった大正期の京都で流行していた「活動写真」の文化状況と映画独自の表現技法をコードに作品解釈する試み。草川論は、江戸川乱歩にとって作家としての分岐点となった「陰獣」に内在するフィクションの在処とその機能について、フィクション論の観点から論じたもの。二人にとって初めての論文です。
今回、「資料紹介」という慣れない作業に取り組んだ拙稿は、戦前期カナダで発行されていた『大陸日報』の主筆を務めていた鈴木悦が著した戯曲形式の作品を扱ったもの。校訂を施して作品全文を掲載するとともに「解題」で作品を取り巻く状況を紹介しました。