2019/03
『タイ国日本研究国際シンポジウム2018 論文集』に、同志社女子大学の高橋幸平さんとの共著論文を発表しました。また、本誌には卒業生の笹尾佳代さんの論文も掲載されています。
◇日高佳紀・高橋幸平
フィクション論と現代文学─筒井康隆・村上春樹テクストを読む─
◇笹尾佳代
スキャンダル報道言説への反照─柳原白蓮『荊棘の実』の射程─
拙論は、昨年8月25日にタイのチュラーロンコーン大学で開催されたシンポジウムでのパネル発表をまとめたものです。1979年に発表された筒井康隆『虚人たち』と村上春樹『風の歌を聴け』について、フィクション論の観点から両作品のフィクショナリティについて分析・記述した論考です。
笹尾論も同シンポジウムでの研究発表にもとづいたもの。かの白蓮事件(1921)の当事者である柳原白蓮が事件後に発表した自叙伝『荊棘の実』と事件当時にあふれかえったスキャンダル報道との応答の様を扱った論考です。
『奈良教育大学国文─研究と教育』第42号が刊行されました。
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本誌には、日高研究所属の院生、橘川智哉くんの論文、そして、ゼミ卒業生のホルカ・イリナさんの単著について奈良大学の光石亜由美さんによる書評、拙共編著について同志社女子大学の高橋幸平さんによる書評がそれぞれ掲載されています。
【論文】
◇橘川智哉
川端康成「水晶幻想」のレトリック─科学言説と内面描写─
【書評】
◇光石亜由美
ホルカ・イリナ著『島崎藤村 ひらかれるテクスト メディア・他者・ジェンダー』
◇高橋幸平
日高佳紀・西川貴子編『建築の近代文学誌 外地内地の西洋表象』
橘川論は、昨年の国文学会研究発表大会での口頭発表をもとにした論文で、川端康成「水晶幻想」において同時代の優生学を初めとする科学言説から受けた影響を、その内面描写のレトリックに見出そうとする論考です。橘川くんにとって初めての論文になります。
光石亜由美さんの書評はホルカ・イリナさんが2018年3月に刊行した初めての単著に関するもの、また、高橋幸平さんの書評は、西川貴子さんとの共編で2018年11月に刊行した論集に関するものです。本論集にはゼミ卒業生の笹尾佳代さんも執筆しています。
光石さん、高橋さんには、お忙しいなかご執筆いただき、心から感謝申し上げます。