2010/07

谷崎記念館の庭雨の日曜午後、「近代文学研究」という授業を受講している3回生+αとともに芦屋に文学散歩に出かけました。
例年と同じく、阪急蘆屋川駅近くの細雪文学碑~芦屋市谷崎記念館(画像はその裏庭)~魚崎の谷崎旧居・倚松庵というコースでまわりました。



津村は何日に大阪を立つて、奈良は若草山の麓の武蔵野と云ふのに宿を取つてゐる、──と、さう云ふ約束だつたから、此方は東京を夜汽車で立ち、途中京都に一泊して二日目の朝奈良に着いた。武蔵野と云ふ旅館は今でもあるが、二十年前とは持主が変つてゐるさうで、あの時分のは建物が古くさく、雅致があつたやうに思ふ。鉄道省のホテルが出来たのはそれから少し後のことで、当時はそこと、菊水とが一流の家であつた。(谷崎潤一郎「吉野葛」1931)

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